ド=ドーナツ」は日本だけ?ドレミの歌の英語歌詞と驚きの和訳を徹底解説
世代を超えて歌い継がれる不朽の名曲『ドレミの歌』。「ドはドーナツのド、レはレモンのレ」という親しみやすい日本語歌詞は、日本人なら誰もが無意識に口ずさめるほど深く定着しています。しかし、原曲であるミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の英語歌詞(原題:Do-Re-Mi)に触れたとき、「英語のドはドーナツではないのか」「まったく違う意味が歌われている」と驚く人が後を絶ちません。
グローバル教育やリスニング教材として英語童謡への関心が一段と高まる現在、英語歌詞の言葉遊びの仕掛けや、名歌手ペギー葉山氏が残した訳詞誕生の舞台裏が再び大きな注目を集めています。本稿では、英語本来の歌詞に秘められた緻密な構造から、カタカナ発音・直訳・意訳の徹底比較、さらには日本語版への翻案にまつわる歴史的背景まで、取材データと一次資料をもとに余すところなく解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:原曲の英語歌詞は「同音異義語(Homophone)」を駆使した高度な言葉遊びであり、ドは「牝鹿(Doe)」、レは「太陽の光線(Ray)」など自然をモチーフにした単語が並ぶ。
- 要点2:「ドはドーナツ」というフレーズはペギー葉山氏による卓越した創作翻案であり、直訳を捨てて当時の日本の子どもたちに親しみやすい情景を描いたことで国民的唱歌となった。
- 要点3:英語歌詞はフォニックスや英語特有のリンキング(音の繋がり)を学ぶ基礎教材として極めて秀逸であり、カタカナ表記にとらわれずリズムで捉えることが習得の鍵となる。
【真相解明】「ドはドーナツ」は日本独自?英語本来の歌詞に隠された言葉遊びの仕組み
結論から申し上げると、「ド=ドーナツ」という結びつきは100パーセント日本独自の翻案です。原曲である映画『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年公開、ジュリー・アンドリュース主演)劇中で歌われる「Do-Re-Mi」には、お菓子や食べ物は一切登場しません。
英語圏におけるこの楽曲の本質は、音楽教育の基礎である「ソルフェージュ(音階唱)」の音名(Do, Re, Mi...)と、日常英語でまったく同じ発音を持つ英単語(同音異義語:Homophone)を掛け合わせた知的な言葉遊び(Pun)にあります。作詞を手がけたオスカー・ハマースタイン2世は、子どもたちが初めて音階を覚える際、耳馴染みのある英単語の響きと音符を直感的に結びつけられるよう、極めて計算された言葉選びを行いました。
具体的に見ていきましょう。第1音の「Do」に対して割り当てられたのは、発音がまったく同じである「Doe(ドウ:メスの鹿)」です。続く「Re」には「Ray(レイ:一筋の光線)」、「Mi」には「Me(ミー:私自身)」が充てられています。つまり、「ド」という音を学ぶために「Doe, a deer, a female deer(ドは牝鹿、メスの鹿)」と導入し、音と意味の反復によって自然に発声させる構造になっているのです。
日本語版のように「ドで始まる単語(頭文字)」を連想する方式(アクロスティック/頭文字遊び)ではなく、「発音そのものが一致する別の単語」を当てはめる手法が採られている点こそ、英語原曲と日本語版の決定的な構造の違いといえます。

【Do-Re-Mi 英語歌詞詳細まとめ】全パートのカタカナ発音・直訳・実践和訳一覧表
英語学習者や子どもに教えたい保護者に向けて、DoからTiまでの各フレーズの構造を完全に網羅した比較データを以下にまとめました。カタカナ発音は単なる字面通りの読みではなく、ネイティブが実際に発音する際のリズムや音の連結(リンキング)を反映した実践的な表記としています。
| 音階と単語 | 英語歌詞と実践カタカナ発音 | 英語歌詞の直訳・解説 | 日本語版(ペギー葉山訳) |
|---|---|---|---|
| Do(ド) 掛詞:Doe | Doe, a deer, a female deer (ドウ ア ディア ア フィーメイル ディア) | ドウは鹿、メスの鹿のこと | ドはドーナツのド |
| Re(レ) 掛詞:Ray | Ray, a drop of golden sun (レイ ア ドロップ オヴ ゴールデン サン) | レイは金色に輝く太陽のひとしずくの光 | レはレモンのレ |
| Mi(ミ) 掛詞:Me | Me, a name I call myself (ミー ア ネイム アイ コール マイセルフ) | ミーは自分自身を呼ぶときの名まえ(私) | ミはみんなのミ |
| Fa(ファ) 掛詞:Far | Far, a long, long way to run (ファー ア ロング ロング ウェイ トゥ ラン) | ファーはずっと遠く、走っていく長い道のり | ファはファイトのファ |
| Sol/So(ソ) 掛詞:Sew | Sew, a needle pulling thread (ソウ ア ニードル プリング スレッド) | ソウは縫うこと、糸を引く一本の針 | ソはあおいそら |
| La(ラ) 掛詞:なし | La, a note to follow Sew (ラ ア ノート トゥ フォロウ ソウ) | ラはソの次に続く音符(※適合する英単語がないためのメタ表現) | ラはラッパのラ |
| Ti(シ/ティ) 掛詞:Tea | Tea, a drink with jam and bread (ティー ア ドリンク ウィズ ジャム アンド ブレッド) | ティーはお茶、ジャムパンと一緒に飲む飲み物 | シはしあわせよ |
表から明らかな通り、原詩の緻密さは舌を巻くレベルです。唯一「La」だけは英語に完全一致する日常単語が存在しなかったため、「a note to follow Sew(ソに続く音符)」という、音楽理論そのものを説明するメタ的な歌詞が充てられています。このユーモア溢れる逃げ道も含め、英語圏の作詞技術の真髄が凝縮されています。
ペギー葉山が明かした訳詞の真相|なぜ「鹿」ではなく「ドーナツ」だったのか?
では、なぜ日本に導入される際、直訳の「ドは牝鹿(メスジカ)」ではなく「ドはドーナツ」へと劇的な変貌を遂げたのでしょうか。そこには、訳詞を担当した歌手・ペギー葉山氏(1933〜2017)の類まれな洞察と、時代背景に対する深い愛情が存在していました。
1960年代初頭、劇団四季による日本初演ミュージカルやNHK『みんなのうた』(1962年初回放送)への採用にあたり、訳詞を依頼されたペギー葉山氏は大きな壁に直面します。当時の一次証言や本人の手記・特番インタビューによると、当初は英語に忠実に訳そうと試みたものの、「ドはメスジカのド」「レは太陽の光」と直訳しても、日本の幼い子どもたちには情景がまったく思い浮かばず、歌として弾まないという深刻な問題に突き当たったのです。
ペギー氏は自著の中で、締め切りが迫るなか訪れた東京・銀座の喫茶店での光景を振り返っています。カウンターでふと目に入ったのが、当時まだハイカラで珍しかった「ドーナツ」でした。丸いドーナツの穴を覗き込んだ瞬間、「ドはドーナツのド」というフレーズが天啓のように降りてきたと語られています。
「食べること」は子どもの最も根源的な喜びであり、そこから連想を広げて「レ=レモン」「ミ=みんな」「ファ=ファイト」「ソ=青い空」「ラ=ラッパ」「シ=幸せ」という、当時の日本の子どもたちを取り巻く日常風景と希望に満ちた言葉へと紡ぎ直されました。「シは幸せよ」と締めくくり、「さあ歌いましょう」へと繋げる見事なストーリー構成は、単なる翻訳の枠を超え、高度経済成長期の日本に明るい音楽の光を灯す歴史的快挙となったのです。

【実態検証】英語学習としての「ドレミの歌」|ネットのリアルな声と発音の落とし穴
現在、YouTubeやストリーミング配信の普及に伴い、幼児教育から大人のやり直し英語に至るまで「Do-Re-Mi」を教材として取り入れるケースが急増しています。しかし、ネット上のコミュニティ(知恵袋や語学学習SNS)では、実際に歌ってみて初めて直面する「落とし穴」についての投稿が目立ちます。
教育現場や学習者のリアルな声を集約すると、特に以下の3点に強い戸惑いが寄せられていることが分かります。
- 「Ti(ティ)」の発音問題:日本では音階を「ドレミファソラ『シ』」と習うため、英語歌詞で「Tea(お茶=ティ)」と歌われることに違和感を覚える人が多い。英語圏のソルフェージュでは「Si」ではなく「Ti」を採用するのが国際標準です。
- 音の脱落(リダクション)の壁:「a needle pulling thread」の部分は、カタカナ通りに「ニードル・プリング・スレッド」と一語ずつ発音してもメロディに乗りません。ネイティブは「ニードゥ・プリング・スレッ」のように子音を脱落させ、流れるように歌う必要があります。
- 「Far」の長音とRの響き:「Far, a long, long way to run」は、ブレスコントロールとアメリカ英語特有の舌を引くRの母音保持が要求されるため、歌唱難易度が最も高いパートと認識されています。
主演のジュリー・アンドリュースが映画で見せた歌唱は、ブロードウェイ仕込みの完璧なクイーンズ・イングリッシュ寄りの発音(容認発音に近い明確な調音)でありながら、映画らしい親しみやすいフレージングを保っています。カタカナ発音を補助輪として使いつつも、最終的には彼女の口元と舌の動きを真似て「音の繋ぎ(リエゾン)」を体感することが、ネイティブの感覚を掴む近道です。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
ネット上の解説記事やQ&Aサイトでは、時折「ペギー葉山氏が英語の意味を取り違えて誤訳したのではないか」という無邪気な言説が見受けられますが、これは完全な歴史的誤解です。
ペギー葉山氏はジャズやポピュラー音楽の本場アメリカでのステージ経験を持ち、英語の原詩を完璧に理解していました。理解した上で、「翻訳(Translation)」ではなく「翻案(Adaptation)」を選択したのです。言語学および比較文化論の観点から見ても、異なる言語間で言葉遊びをそのまま移植することは不可能です。もし「Doe(メスジカ)」を無理やり残していれば、日本の音楽教育史にこれほど深く根付くことは絶対にありませんでした。
もう一つの盲点は、「英語の歌詞は子ども向けだから簡単」という思い込みです。使われている文法構造を分解すると、関係代名詞の目的格省略(a name [that] I call myself)や、現在分詞の限定用法(a needle pulling thread)など、中学〜高校英語の重要構文が自然に組み込まれています。単なる幼児歌ではなく、極めて洗練された英語表現の宝庫なのです。
【プロの結論】教材として「向いている人」と「注意すべき人」の判断基準
言語習得および音声指導の観点から、この楽曲を学習に活用する際の明確な適性を提示します。
【非常におすすめできる人】
- 英語特有のリズム(強弱アクセント)を体得したい初心者:メロディの拍子と単語の強勢(ストレス)が完璧に一致しているため、棒読み英語から脱却する最適なトレーニングになります。
- フォニックス学習中の子ども・親子:音と文字の規則性を、耳と口を使ってストレスなくインプットするのにこれ以上の教材はありません。
- 発声とリスニングを同時に鍛えたい人:母音をしっかり響かせるミュージカル発声は、英語の「腹式呼吸による発音」と親和性が抜群です。
【活用に注意が必要な人(慎重になるべき人)】
- 現代の日常会話・実用スラングを最短で習得したい人:「Doe(メスジカ)」や「Sew(裁縫する)」は現代のカジュアルな日常会話で頻出する語彙ではないため、会話表現の即効性を求める場合には効率が落ちます。
- イギリス英語や特定の地域アクセントに特化して学びたい人:劇中歌は国際的に整えられた舞台発音であるため、リアルなストリート英語の崩れたトーンを学ぶ目的には向きません。

【ドレミ の 歌 歌詞 英語】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:なぜ英語のドレミは「シ」ではなく「ティ(Ti)」と言うのですか?
A1:19世紀にイギリスの音楽教育家サラ・グローバーが考案した教育法(トニック・ソルファ)において、各音阶の頭文字(D, R, M, F, S, L, S...)が「Sol」と「Si」で「S」同士重複してしまうことを防ぐため、「Si」を「Ti」に変更しました。これが世界標準として定着したため、英語歌詞でも「Ti」が使われています。
Q2:映画版とブロードウェイ・ミュージカル版で英語の歌詞に違いはありますか?
A2:基本となる「Doe, a deer...」の核となる部分は同一ですが、楽曲の導入部分(前奏前の台詞的歌唱パート)の掛け合いや、曲の後半で子どもたちとマリアが音階を組み替えてハーモニーを構成していく展開の長さに若干のアレンジの違いが存在します。
Q3:大人ですが、英語の発音練習としてカラオケで歌うのは効果がありますか?
A3:極めて高い効果があります。特に「pulling thread(子音の連続とリンキング)」や「long, long way to run(LとRの発音分け)」など、日本人が苦手とする調音動作が密集しているため、ブレスを意識しながらテンポに合わせて歌い切ることで、口周りの筋力トレーニングとして機能します。
まとめ:時代を超えて愛される名曲の知られざる奥深さ
『ドレミの歌』の原曲「Do-Re-Mi」に散りばめられた緻密な言葉遊びの妙と、それを日本の子どもたちの心に届く形へと昇華させたペギー葉山氏の卓越した翻案技術。両者を比較して読み解くことで、単なる童謡という枠をはるかに超えた、言語と文化の受容におけるドラマチックな軌跡が浮かび上がってきます。
英語本来の持つ軽快な韻律と美しいメタファーを理解した上で改めて耳を傾けると、ジュリー・アンドリュースの透明感あふれる歌声が、より一層鮮やかに心へと響くはずです。英語学習のステップとして、あるいは名作映画を深く味わうための鍵として、ぜひ声に出してその言葉の響きを楽しんでみてください。 (出典: ドレミ の 歌 歌詞 英語(Yahoo!ニュース))